CO2削減
エコスタイルインタビュー
第7回 なぎら健壱さんのエコスタイル 2003/12/01掲載
なぎら健壱さん


自転車で街をぶらぶら探索するのがご趣味というなぎら健壱さんの目に、いまの時代はどう映っているのでしょう。
「東京という都市を考えてみても、便利になればなるほど無駄って出てくるんですよ。
今だけでなく、江戸時代から無駄はあったわけでしょ。それで近代的に、科学的になればなるほど無駄は増えてくるんですよね。でも、その無駄が見えていない。
家へ帰ればなんとなくテレビをつける。それによって電気を消費しているなんて意識してないでしょ。食べ物にしても、昔は全部きれいに食べたのに、今じゃ、旨けりゃ食べるし、まずけりゃ残すようになっちゃったし。
人間、便利ということに慣れたり、欲しいものがすぐ手に入るようになると、不便とか不足ってことを忘れちゃう。便利になればなるほど弊害も出てくるというのが分かんなくなっちゃっているんですよ。
『あるものは全部使ってやろう、手に入れてやろう』ということが生活の証しみたいになっちゃってるからねぇ。」
と、今の時代を憂慮。日本はまだまだ飽食の時代だと感じていらっしゃるようです。
「日本は不景気だっていってるけど、人がどんどん飢えていくことも無いじゃないですか。選ばなければ仕事だっていろいろある。そんな中で無駄をしないようにって難しいんですよね。
われわれの子供時代なんか、親はクッキーの空き缶を大事に何年も取っておいたし、包装紙や包み物の紐も大事にしまっておいた。物がない時代に生まれた人達は、物を大事にしたんでしょうね。
だから貧しい時代には、これだけ節約すればいくら浮くなんて計算を一所懸命してた。
今の日本じゃ、大半の人がそんなシビアな計算しなくなっちゃてるからね。
フロの残り湯を洗濯に使うなんて面倒だからって全部捨てちゃう。残り湯を洗濯機まで運ぶ労力の方が無駄だって錯覚しちゃう時代だからね。」



人が見ていなければ、自分一人くらい何をしても大したことはない。そんな感覚が蔓延しているともおっしゃるなぎら健壱さん。
「このあいだ、ちょっと大きな公園で、清掃員の人が園内のゴミを片付けているのを見たんですが、みるみる10t車がいっぱいになっちゃう。その公園に遊びに来た人が、ゴミをそのまま置いていっちゃうから。皆そうやっているからいいやって思っちゃうんだよね。100人のうち自分一人だけ片付けてもしょうがないって言うか。反対に、一人だけ片付けるのは恥ずかしいやとか。
でも、考えてみれば、公園側としてはゴミを片付けるのに清掃業者を頼まなければならない。頼めば膨大なお金がかかるわけですよ。それをどこが払っているかというと、都の管轄なら都が払っているわけで。つまり自分たちが払った税金でしょ。
自分一人ぐらいいいやって考えている人に、実際どんな弊害が起こっているか知らしめていかなければならないですよ。」
ゴミは自分で始末するといった常識が崩れている。放っておいたら大変なことになると皆が分からなければと、なぎら健壱さん。
「物を大切にといったことも連綿と伝わってきたはずなのに、どこかでぷつっと途切れちゃった。物を大切に取っておいていた、おじいちゃんやおばあちゃんが、もうそんな面倒なことをしなくていいと気付いたんでしょうね。
それを見ていた子供世代も、それでいいんだって思っちゃった。さらに次の世代となると、もったいないなんてことが分からないとかね。無駄に気がつかないのが当たり前の生活なんですから。
だから、今、物を考えられる大人が考え直さなければ駄目なんだろうなぁ。」

では、何をどう考えていけばいいのか。なぎら健壱さんは面白い提言をしてくださいました。
「今はデジタルの時代。でも、アナログを分かってのデジタルの世界じゃないと駄目なんですよ。
たとえばの話、自転車はアナログ的で自動車はデジタル的だとして、家族で旅行するときは自動車を使うだろうけれど、近所に買い物に行くときも楽だからって自動車を使うのは無駄でしょ。自転車を使えば、大げさに言うと環境にだっていい。要は使い分ければいいんですよ。でも、アナログの良さを知らなければ、なんでもかんでもデジタルに頼ってしまうでしょ。」
と、自転車を見直すことも提案されています。
「よく『パソコンがないと仕事ができない』とか、『携帯電話がないと不安』なんて言いますよね。ちょっと前まで、そんなものなかったのにですよ。使い始めると、便利さに慣れきってしまうし、便利さに頼りすぎて無駄なことが見えなくなる。
『デジタルなものが無かったら』という意識を持たないと恐いですよ。デジタルに頼らなくていいことはアナログでやる。それも一過性でなく、持続していくことが大事ですよね。
それから、自分一人やればいいじゃなくて、子供にも教えていく。家族で考えていく。それがご近所に広がっていけば、なおいいですよね。」 身の回りをよく見れば、無駄なものを100探すのは簡単だとなぎら健壱さん。 ご家族で、身の回りの無駄探しをゲーム感覚でしてみるのも面白いかも知れません。「無駄」を見つけること、それがエコスタイルの始まりとも言えそうです。
なぎら健壱
1952年東京生まれ。
1970年、中津川フォークジャンボリーに飛び入り参加したことがデビューのきっかけとなる。現在はコンサート、ライブ活動の他、独特のキャラクターでテレビ、ラジオ、執筆等で活躍。フォークシンガーとしてステージでは人間味溢れる自らの作詞、作曲によるオリジナル曲に加え、心に残る、忘れてはいけない唄を歌い続ける。
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