| 第8回 鈴木光司さんのエコスタイル |
2004/01/05掲載 |


家事も子育てもこなし主夫を自認する鈴木光司さん。家庭内でのエコスタイルはというと・・・。
「とにかく余分な手間をかけない。たとえば、ビールを飲んで、次はお酒にしようというときは、ひとつのコップですませる。それも、ビールを飲んだら、コップはさっと水ですすぐだけにして、お酒を注いでしまう。いちいち洗剤で洗ったりすれば、洗剤も水も使いすぎになるから。
私は寒さを感じないので、暖房もあまり必要無い。娘たちにも部屋を暖めすぎるなんてダメっていっている。必要以上の余分や余計を省くこと。そうして、できるだけシンプルであればムダは減らせますよね。」
と、鈴木さん。家財道具も、いつでも夜逃げができるくらい必要最低限におさえていらっしゃるというから、余分の省き方はかなりダイナミックなようです。
「私はヨット乗りだから、いつも身の回りはこぎれいにしていないと気がすまない。余計なものを置いたりしていれば、いざというとき命にかかわるわけだし。使っていないものは必要無いですから。
ヨットっていうとお金がかかるように感じるかもしれないけれど、実はコストがすごく少なくてすむ。今、太平洋横断の計画を立て、ヨットを建造中なのだけれど、冷暖房はなし。海水を真水に替えるウォーターメーカーだけは付けているけれど。それで、軽油を積んで、エンジンも回しつつ、その熱を上手く利用していけば、二人で一年間、100万円程度しか生活費がかからない。最小限のものだけで生活できてムダがないから。」
ヨットでの生活はちょっと想像しにくいかもしれませんが、自分にとって必要最小限とはどんなものだろうと考えてみると、エコスタイルにも新しい発見がありそうです。
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「環境問題は過去に答えを求めたら間違ってしまう。歴史は参考にするべきだけれど、そこに答えを見つけるべきではない。
人間は未開なところからカオスの淵を前進し続けてきたのだから、とどまったら滅亡する。とにかく歩き続けるしかないのです。安住の地を見つけてそこにとどまってもダメ。立ち止まって後ろを振り向いてもダメ。理想のパーフェクトな世界があると考えて、それを目指してもダメ。バランスを取りながら、まっすぐ進むしかない。環境問題も前に進むことによって改善することが必要です。
たとえば車の公害が昔から言われてきたけれど、ハイブリッドカーという低公害車まで進化してきた。そのような発想で、新しいコンセプトをどんどん出していく。科学や技術を進歩させることによって、環境に良い製品を作る技術が向上する。そうしたテクノロジーを生み出しながら前進していかなければ。」
確かに、家電製品にしても、省エネ、低公害、リサイクルとずいぶん進化してきています。
「時代が進んで、生命が進化していくに従って機構が複雑になってくると、自分の中に『善』を含んだ行動をしていくようになる。世界が進歩していく中で、一人ひとりが『善』を取り入れた行動をしないかぎり、もはや動き切れない状態になっているのです。
企業にしても、内部に倫理感や良さの構造が確立していないと成り立たないようになってきた。企業倫理がなくなったと言われたりするけれど、そんなことはない。過去に比べたら倫理感の充足はきちんと行われています。
環境問題も、『善』というものの中に含まれていくはず。いまや、利益の追求だけして、CO2が出ようがどうしようが構わないなんて企業は成り立たない。反対に、知恵を結集して、環境負荷の少ない製造システムを構築したり、環境に良い製品を作り出してきています。」
環境問題というと、マイナス要因を思い浮かべがちですが、人も企業も意識はレベルアップしているのですね。
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環境問題はグローバルに考えるのではなく、自分にとって何ができるかを考えることが大切だと鈴木光司さん。
「世界はこうあるべきということと、自分のやりたいこととの間に葛藤が起きたら苦しい。一人ひとりが合理性を追求して、自分の進む方向と世界の方向を一致させた方がラクだと思う。
皆そんなに愚かじゃない。ゴミ出しのトラブルひとつを取ってみても、ほとんどの人がきちんとルールを守っているからこそ起きるわけだし。一人ひとりの意識だって昔よりは高まっているのだから、皆が自然に行動することで気持ち良い世界になっていけばいいと思う。」
と、未来に希望がわいてくるようなお話が続きましたが、最後に。
「未来は絶対に読めない。いろいろな要素が複雑に絡み合っているから予測は不可能。だからこそ未来は暗いと悲観的にならず、一人ひとりが全力を出し切ることが大切。世界にはいつも問題が山積みです。ひとつでも多く解決するためには、一人ひとり前向きに自分ができる範囲で全力を出していくしかない、例えば、小説家である僕にできることは、そのつど、強い意欲と情熱と集中力をもって、新しい小説にチャレンジしていくことなのです。」
未来が暗いなんていっているとエネルギーをなくしますよ、と鈴木さん。未来のために自分は何ができるのか、しっかり考えて、一人ひとりがパワーアップできたらいいですね。 |
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1957年、静岡県生まれ。
慶応義塾大学文学部仏文科卒。90年、「楽園」で日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞。その後、「リング」「らせん」「ループ」がベストセラーになる。96年、「らせん」で第十七回吉川英治文学新人賞受賞。著書に「光射す海」「シーズ ザ デイ」などの小説のほか、「家族の絆」などのエッセーも多く、”文壇最強の子育てパパ”といわれる。 |
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