2007/5/10掲載

大人の食学(たべがく)〜主食を考える〜
大人の食学(たべがく)イメージ写真

「豊かな人間性を育むため」という理由で制定され、注目を集めている食育基本法。2006年12月には、この法律に基づいた初めての「食育白書」も発行されました。健やかな生活を送るために、さまざまな角度から“食”を考えようという方向に世の中は動いています。「食育」というと、これまでは子どもをターゲットにしたものととらえられがちでしたが、より豊かな毎日を過ごすためには、大人たちこそ充実した食生活が必要です。そこで、TEPORE会員の皆さまの“食”経験をアンケートで披露していただき、食材・料理方法に限らず、栄養面や生産方法など、多方面から“食生活”について考えていきたいとテポーレは考えます。豊かな“食”をキーワードに、人生そのものを見つめ直したい。それが、テポーレ「大人の食学(たべがく)」です。

※生活習慣病や健康診断の数値など、体調や状態には個人差がございます。食事療法や食材の制限などが必要とされる場合は、医師や専門家の指示に従っていただけますようお願いいたします。
調査概要
調査方法 インターネットリサーチ
調査期間 2007年4月12日(木)〜4月15日(日)
対象者 TEPORE会員
有効回答者数 26,735人(男性14,431人 女性12,304人)
今回の「主食を考える」に関する調査では、
2007年4月12日(木)〜4月15日(日)の間に、
26,735人の方から回答をいただきました。
コメンテーター 荒牧麻子(あらまき あさこ)管理栄養士、食卓プロデューサー。ホテルオークラヘルスクラブの栄養相談を1973年設立時より担当。NPO法人国際食文化研究所・理事長。その著書に『中高年こそダイエット』(NHK出版)などがある。現在、週刊新潮に『私の週間食卓日記』を連載中。アール・ド・ヴィーヴルの会 http://www.artdevivrenokai.com/
http://www.artdevivrenokai.com/
遺伝子研究が進むにつれて、主食の摂り方にも変化が見られるようになると思います。例えば、グリセミックスインデックス(血糖上昇反応指数)、いわゆるGI値をもとに、糖質の多い食物を摂取したときに身体が示す反応が、同じ量の糖質を摂取しても人によって違うことなどがわかってきました。
そこから、食事の中で摂取する糖質をどのくらいの割合にすれば良いのか、つまり、主食をしっかりと食べなければいけない人、食べてはいけない人、食べても良いけれどもその食べ方に気をつけなければいけない人という3パターンくらいに分かれるという研究結果が発表されています。
遺伝子レベルのお話なので、それが家庭の食卓に反映されるまでにはまだ時間がかかると思いますが、将来的には、各家庭で糖を測定し、主食のコントロールをするようになるかもしれませんね。
それから、第1回の「野菜のチカラ」でも触れましたが、いも類はほとんどが糖質です。もちろんビタミン、食物繊維もありますが、主食と同等に考えていただきたいと思います。
朝食の時、あなたは何を「主食」にしていますか?もっともよく食べているものを1つだけお答えください。
朝食で食べる主食の1位は「ご飯」の41.8%でしたが、2位の「パン類」41.6%との差は、わずか0.2ポイントでした。ちょっと気になるのが、「朝食を食べない」という方が5.4%で3位だったという結果です。
また、男女別で見ると、男性の1位は「ご飯」の46.2%、2位は「パン類」の37.7%と全体の順位と変わりませんが、女性の場合は1位が「パン類」の46.1%で、2位が「ご飯」の36.6%と逆転していました。どちらかというと、男性はご飯好きで女性はパン好き、ということでしょうか。

Q1.朝食の時、あなたは何を「主食」にしていますか?もっともよく食べているものを1つだけお答えください。
1位  ご飯(お粥を含む) 41.8%
2位  パン類 41.6%
3位  朝食は食べない 5.4%
4位  とくに決めていない 4.6%
5位  主食は食べない(サラダ・
 ヨーグルト・飲み物などだけで
 すませる)
3.4%
6位  シリアル 1.5%
(回答数=26,735人)
その他のご意見

集計結果を見て

朝食は「主食を食べずにヨーグルトやサプリメントですます」という方がいらっしゃるようですが、そもそも朝お腹が空いていないということが、健康的な生活リズムの乱れを表していると言えるかもしれません。カルシウム豊富な発酵食品であるヨーグルトを選ぶのは賢明なのですが、1日の始まりの食事としての満足感を考えると、ヨーグルトだけでは必ずしも十分とは言えません。ただ、朝に水分を多く摂る方が増えているのは、とても良い傾向だと思います。できればお水ではなく、季節の野菜や果物でジュースをつくって楽しむほうが、栄養的にも生活の満足度を考えてもおすすめです。

コメンテーター 荒牧麻子

昼食の時、あなたは何を「主食」にしていますか?もっともよく食べているものを1つだけお答えください。
昼食でもっとも良く食べる主食は「ご飯」の54.4%。2位には「めん類」の23.3%が浮上します。3位の「とくに決めていない」10.7%を含めて、お勤めの方などの外食の比率が高いことによる影響が出ているのかもしれません。

Q2.昼食の時、あなたは何を「主食」にしていますか?もっともよく食べているものを1つだけお答えください。
1位  ご飯(お粥を含む) 54.4%
2位  めん類(そば・うどん・
 パスタ・中華めんなど)
23.3%
3位  とくに決めていない 10.7%
4位  パン類 9.3%
5位  昼食は食べない 1.0%
(回答数=26,735人)
その他のご意見

夕食の時、あなたは何を「主食」にしていますか?もっともよく食べているものを1つだけお答えください。
夕食では、1位の「ご飯」が85.3%と圧倒的な支持を集めています。やはり、日本人にはお米という意識が強いのでしょうか。また、夕食には晩酌がつきものということで、お酒を主食と考えている方も多く見られました。

Q3.夕食の時、あなたは何を「主食」にしていますか?もっともよく食べているものを1つだけお答えください。
1位  ご飯(お粥を含む) 85.3%
2位  とくに決めていない 6.0%
3位  主食は食べない(サラダ・
 ヨーグルト・飲み物などだけで
 すませる)
3.6%
4位  めん類(そば・うどん・パスタ・
 中華めんなど)
2.3%
5位  その他 1.2%
(回答数=26,735人)
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TEPOREレシピからとっておきをご紹介 
おいしい「主食」のレシピはこちらから→
レシピ紹介

食文化史研究家 岡田 哲 コラム/日本の主食を食文化史的にみれば 食文化史研究家/岡田 哲
 

「主食」というのは、欧米にはあまり見られない、東アジアを中心とした独自の食文化です。とくに日本は、神武の昔から、「豊葦原(とよあしはら)の瑞穂(みずほ)の国」と呼ばれるほど気候や土壌に恵まれ、おいしいお米がとれる国でした。古墳時代には、本格的な水田稲作文化に支えられて、玄米を中心にした主食と、それに添える副食の概念が芽生えます。
日本人の「主食」と言えば「ご飯」、だと思われがちですが、実は庶民にとって白米は高嶺の花で、長い間、主食は雑穀でした。庶民にとってご飯が身近な存在になるのは、大正から昭和の初めごろだと言われています。それをきっかけに、先人たちは、海外から持ち込まれた料理をご飯に合うおかず(主菜)につくり変えて、とんかつ、コロッケ、カレーライスなど日本独自の食文化を誕生させていきます。なかでも「おにぎり(おむすび)」を考えた日本人の知恵は、すばらしいと思います。こんなにシンプルでおいしい「主食」は、世界中どこを探しても見あたりません。



あなたが一番好きな「主食」は何ですか?
一番好きな主食は何かをお聞きした結果、1位は「ご飯」77.7%、2位は「めん類」13.2%、3位は「パン類」8.0%でした。やはり圧倒的に、「ご飯」の人気が高いようです。店頭でも、ちょっと高いブランド米がよく売れていますよね。ご飯をおいしいと感じている方は、お米へのこだわりもひとしおなのでしょうか。

Q4.あなたが一番好きな「主食」は何ですか?
円グラフ
その他のご意見
(回答数=26,735人)

その「主食」が好きな理由は何ですか?
Q4で挙げていただいた「主食」が好きな理由としては、「おいしい」81.5%、「副食との相性が良い」40.4%、「お腹にたまる」38.7%、「手軽」22.0%などが上位を占めました。

Q5.その「主食」が好きな理由は何ですか?(複数回答)
1位 おいしい 81.5%
2位 副食との相性が良い 40.4%
3位 お腹にたまる 38.7%
4位 手軽 22.0%
5位 エネルギーになりやすい 15.4%
(回答数=26,735人)※複数回答
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日本人は、口の中で食事の味付けを完成させる「口中調味」ですから、ご飯、おかず、しょうゆや味噌、季節の味わいや香りが口の中で一緒になることに満足感を覚えるのでしょう。満腹感が得られなくとも、満足感に満たされれば、はしを置くことができますので、少量でも主食を摂ることをおすすめします。また、その土地や地域で取れる食材をもとに独自の食文化が生まれるので、日本人の味覚には、ご飯が一番合うのだと思います。

コメンテーター 荒牧麻子

3食中、1食でも主食を抜く理由は何ですか?(1日の食事のうち、1食以上「主食を抜く」という方におうかがいしました)
「主食」を抜いてしまう理由は、「食べている時間がない」27.3%、「お酒を飲むから」23.1%、「太るから」21.9%、「食べたくない」19.2%というものが多く、とくに夕食では、男女を問わず晩酌のアルコールを代替エネルギーと考えている方が多いようです。

Q6.3食中、1食でも主食を抜く理由は何ですか?(1日の食事のうち、1食以上「主食を抜く」という方におうかがいしました)
1位 食べている時間がないから 27.3%
2位 お酒を飲むから 23.1%
3位 太るから(カロリーが高い) 21.9%
4位 食べたくないから 19.2%
5位 面倒だから 11.9%
(回答数=3,459人)※複数回答
大人の食学(たべがく)イメージ写真

集計結果を見て

主食の代替として「お酒」を挙げている方が多くいらっしゃいますが、エネルギーとしてはともかく、お酒は消化吸収という過程を経ずにいきなり体内で吸収されてしまいますから、栄養にはなりにくいんです。もともと日本人は、アルコール脱水酵素が欧米人に比べて少ないので、お酒の量を増やせば増やすほど、体に負荷がかかります。お酒には食欲増進剤としての効果もありますから、私は、適度な飲酒はあって良いと思いますが、個人の適量はしっかり認識していただきたいと思います。主食の代替とは考えずに、いつもより運動して多くエネルギーを消費したら少し飲む、くらいの感覚でちょうど良いでしょう。

コメンテーター 荒牧麻子

食文化史研究家 岡田 哲 コラム/「主食」と「副食」の逆転 食文化史研究家/岡田 哲
 

私たちはいま、飽食の時代に生きています。日本の食習慣は急速に欧米化して、家庭料理からは、おふくろの味や郷土料理が姿を消し、「主食」と「副食」の関係に逆転現象が起こっています。世界を見渡しても、食の多様化と食生活の乱れが問題視され、食事の見直しが叫ばれています。
そうした中で、「日本型の食生活」は極めて理想的な食事として、欧米諸国から注目を集めています。その理由は、(1)米食に依存しながら、(2)大麦・小麦・大豆などの穀類をバランス良く配し、(3)魚介中心の良質な動物性たんぱく質を摂取して、(4)食物繊維の多い野菜も豊富に摂り入れながら、(5)肉・牛乳・乳製品も摂っているからです。主食が「ご飯・パン・めん類」であるということよりも、主食・主菜・副菜の栄養バランスがとれた、健康で豊かな食生活が海外で注目されているのです。
しかし、これは伝統的な和食に代表される、かつての「日本型の食生活」です。いまこそ私たちは、先人が培ってきたさまざまな知恵を思い起こし、食生活のあり方を考え直す時期に来ているのではないでしょうか。


まとめ
コメンテーター 荒牧麻子

全エネルギーの最低でも5割は、「主食」を中心に摂るほうが良いと思います。仮に1日の摂取カロリーが2,000キロカロリーだとすると、その半分の1,000キロカロリー。炭水化物は1グラム当たり4キロカロリーですから、約250グラムを主食で摂取すると、栄養的にバランスが良く、経済的にも負担にならない食生活を送れるのではないでしょうか。
ただし、ご自分の体としっかり向き合いながら考えてみてください。多くの方が、脂質の摂り過ぎを警戒しているようですが、私は、これからの時代は糖質を警戒することも大切だと思います。例えば、低血糖症の方は白米ではなく、消化吸収を遅らせるために、炊き込みご飯のように調理された主食を摂るほうが体にも良いのです。糖質との付き合い方は人それぞれ違うことを頭に入れて、ご自分に合った健康的な主食の摂り方を見つけて欲しいと思います。

※生活習慣病や健康診断の数値など、体調や状態には個人差がございます。食事療法や食材の制限などが必要とされる場合は、医師や専門家の指示に従っていただけますようお願いいたします。
■関連リンク

・TEPOREアンケート「日本の食〜ごはん〜」
http://www.tepore.com/research/co/061012/index.htm

・TEPOREアンケート「日本の食〜うどん〜」
http://www.tepore.com/research/co/070222/index.htm
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レシピ紹介

※アンケート結果や解説等は、掲載当時のものです。