大人の食学(たべがく)
2009/04/16掲載

TEPORE アンケート 大人の食学(たべがく)
テーマイメージ 食事のマナー
ふだん何気なく食事をとっている私たちですが、毎回の食事を心地よいものにするためには、「食事のマナー」も大切な要素です。“マナー”というと、どうしても“改まった正式な食事の席にだけ必要なもの”と考えがちです。しかし、日常にこそ、基本的なマナーが大切といえる場面があるのではないでしょうか?
そこで、4月の『大人の食学』では、TEPORE会員の皆さまが、ふだんの食事の基本的なマナーについてどう考え、実践していらっしゃるのかを調査してみました。

調査概要
調査方法 インターネットリサーチ
調査期間 2009年3月26日(木)〜3月29日(日)
対象者 TEPORE会員
有効回答者数 58,564人(男性 32,650人 女性 25,914人)
今回の「大人の食学 食事のマナー」に関する調査では、2009年3月26日(木)〜3月29日(日)の間に、58,564人の方から回答をいただきました。
Q1 あなたは、ふだんの食事の際に、いつも「いただきます」と「ごちそうさま」をきちんと声に出して言っていますか?
1位
ひとりで食事するときは、言わない(言わないことが多い) 48.5%
2位
家族・家族以外に関わらず、他の人が一緒のときは必ず言っている 45.2%
3位
ひとりで食事するときは、必ず言っている 20.8%
4位
家族・家族以外に関わらず、他の人が一緒のときは言わない(言わないことが多い) 10.0%
5位
家族と一緒のときは言うが、家族以外の人と一緒のときは言わない 9.5%
6位
家族以外の人と一緒のときは言うが、家族と一緒のときは言わない 7.5%
7位
子ども(家族以外も含む)と一緒に食事するときだけ、きちんと言うようにしている 5.9%
(回答者数=58,564人)※複数回答
男女別ランキング 男性
1位
ひとりで食事するときは、
言わない(言わないことが多い)
51.0%
2位
家族・家族以外に関わらず
他の人が一緒のときは必ず
言っている 36.7%
3位
ひとりで食事するときは、
必ず言っている 15.9%
4位
家族・家族以外に関わらず
他の人が一緒のときは言わ
ない(言わないことが多い)
13.4%
5位
家族と一緒のときは言うが
家族以外の人と一緒のとき
は言わない 13.1%
6位
家族以外の人と一緒のとき
は言うが、家族と一緒の
ときは言わない 7.8%
7位
子ども(家族以外も含む)
と一緒に食事するときだけ
きちんと言うようにして
いる 6.5%
(回答数=32,650人)※複数回答
女性
1位
家族・家族以外に関わらず
他の人が一緒のときは必ず
言っている 56.0%
2位
ひとりで食事するときは、
言わない(言わないことが
多い) 45.2%
3位
ひとりで食事するときは、
必ず言っている 27.0%
4位
家族以外の人と一緒のとき
は言うが、家族と一緒のと
きは言わない 7.2%
5位
家族・家族以外に関わらず
他の人が一緒のときは言わ
ない(言わないことが多い)
5.8%
6位
子ども(家族以外も含む)
と一緒に食事するときだけ
きちんと言うようにしている
5.0%
7位
家族と一緒のときは言うが
家族以外の人と一緒のとき
は言わない 4.9%
(回答数=25,914人)※複数回答
解説
全体の1位は「ひとりで食事するときは、言わない(言わないことが多い)」(48.5%)、2位は「家族・家族以外に関わらず、他の人が一緒のときは必ず言っている」(45.2%)という結果でした。一緒に食べる人がいるときは「いただきます・ごちそうさま」を言うけれど、ひとりの食事だと、声に出しては言わない方が多いようです。
男女別で見ると、「ひとりで食事するときは、言わない(言わないことが多い)」と回答された方と、逆に「ひとりで食事するときは、必ず言っている」と回答された方の比率は、男性では開きが大きく、女性では開きが小さい結果となっています。ひとりの食事のときに「いただきます・ごちそうさま」を言わない傾向は、男性のほうがより顕著なようです。
他にもこんなご意見がありました
  • 声には出さないが、必ず手を合わせて感謝してます (40代・男性)
  • 「乾杯」が「いただきます」の代わりをしていることが多い (30代・女性)
  • ひとりだろうが誰かと一緒だろうが、食事のときは必ず言う (70歳以上・男性)
  • 「いただきます」は必ず言うが、「ごちそうさま」は食後の団らんが長引いてけじめがなくなり、言っていないような気がする (60代・女性)
  • まわりの人が言えば、つられて言う。本当は自発的に言わなければならないんだけど… (50代・男性)
Q2 あなたが食事をしているときに、一番気になる他人の悪いマナーはどれですか?
1位
くちゃくちゃと音を立てて噛む 41.7%
2位
ひじをついて食べる 12.6%
3位
食事中に携帯電話を使う 12.2%
4位
食べものを口の中に入れたまま話す 9.0%
5位
食べ残しをする 6.1%
6位
箸(はし)の持ち方が正しくない 4.6%
7位
食事中の過度なおしゃべり 2.8%
8位
大皿料理を自分の箸で取る 2.6%
8位
迷い箸や寄せ箸など悪いとされる箸使い 2.6%
10位
前かがみになって食べる 1.7%
11位
食器を雑に扱う 1.5%
12位
お椀やご飯茶碗を手のひらで包むように持つなど、食器の持ち方の悪さ 0.7%
(回答者数=58,564人)
解説
食事のマナーイメージ 堂々の1位は、「くちゃくちゃと音を立てて噛む」(41.7%)。これは、すべての年代に共通して“気になる他人の悪いマナー”の1位に挙げられていました。
音となると、まさか耳せんをするわけにはいきません。かといって、注意するにも気が引けるのではないでしょうか。その場に居合わせたのが不運と、我慢せざるを得ないケースが多いことも、ストレスに感じる原因なのかもしれません。
3位に「食事中に携帯電話を使う」(12.2%)がランクインしているのは、現代ならではといったところ。緊急の用件の電話であっても、食事している席を外してから受ける、などの気遣いは必要かもしれません。食事と会話を楽しむことはもちろん、雰囲気を壊さない配慮があると良いですね。
他にもこんなご意見がありました
  • 帽子をかぶったまま食事をしている (50代・男性)
  • お茶碗にご飯粒が残っていたりなど、食べ終わった食器が汚い (40代・女性)
  • 足を組んで食事をする (60代・男性)
  • まだ食べ終わってない人がいるのに、喫煙する人がいる (30代・男性)
Q3 あなたは、正しい箸(はし)の使い方ができていると思いますか?
1位
できていると思う 61.3%
2位
できていないと思う 20.4%
3位
どちらともいえない 16.3%
4位
よくわからない 1.8%
(回答者数=58,564人)

年代別ランキング 《29歳以下》 《30〜39歳以下》
1位
できていると思う 49.4%
2位
できていないと思う 28.2%
3位
どちらともいえない 19.7%
4位
よくわからない 2.5%
(回答数=4,161人)
1位
できていると思う 55.0%
2位
できていないと思う 24.7%
3位
どちらともいえない 18.3%
4位
よくわからない 1.8%
(回答数=15,455人)
《40〜49歳以下》 《50〜59歳以下》
1位
できていると思う 58.6%
2位
できていないと思う 22.2%
3位
どちらともいえない 17.2%
4位
よくわからない 1.9%
(回答数=18,122人)
1位
できていると思う 65.9%
2位
できていないと思う 17.1%
3位
どちらともいえない 14.9%
4位
よくわからない 1.9%
(回答数=12,102人)
《60〜69歳以下》 《70歳以上》
1位
できていると思う 76.0%
2位
どちらともいえない 11.8%
3位
できていないと思う 10.5%
4位
よくわからない 1.3%
(回答数=6,721人)
1位
できていると思う 80.9%
2位
どちらともいえない 10.2%
3位
できていないと思う 7.8%
4位
よくわからない 0.8%
(回答数=2,003人)

解説
食事のマナーイメージ 全体の1位は「できていると思う」(61.3%)という結果でした。ご回答いただいたTEPORE会員の皆さまのうち、半数以上の方は、箸の使い方に自信を持っていらっしゃるようです。
年代別で見ると、年代が上がるにつれて「できていると思う」の割合が上がっていき、70歳以上になると、8割以上の方が「できていると思う」と回答されています。逆に、「できていないと思う」は年代が若い方ほど多く、29歳以下では3割近くとなっています。
自由回答では、「幼いころから両親にしつけを教わったおかげで、箸使いに自信を持っている」という方や、「自分の子どもに教えるために、必死で箸の持ち方を勉強し直している」という方などもいらっしゃいました。会食をする機会が多くなったり、若い世代の見本となるような立場に置かれたりするときにも、正しい箸の持ち方が必要と痛感されるようです。
他にもこんなご意見がありました
  • 幼いころのスパルタ教育によって、完璧。今となっては親に感謝。当時は地獄のようでしたが… (30代・男性)
  • しないように気をつけているが、ついやってしまう「きらい箸」もある (40代・女性)
  • 矯正したので、他人からはできているようには見られていると思う。でも、本当は少しだけ指の動かし方が違う (50代・女性)
  • 「できていないと思う」ではなく、確実にできていない (40代・男性)
Q4 和食のマナーを知っていて役に立ったことや、知らずに恥ずかしい思いをしたことなど、和食を楽しむ席でのマナーについてのエピソードがあれば教えてください。
◆和食のマナーを知っていて役に立ったこと
◆和食のマナーを知っていて役に立ったこと
  • コース料理などをいただくようなときは、必ず「懐紙」を持参するようにしています。魚料理などで、どうしても手を使わなくてはならないような際に、懐紙がとても役に立ちますし、スマートにいただくことができて重宝です (40代・女性)
  • すし屋で、うになどの軍艦巻きを食べるときに、ガリを使ってしょう油を塗ること。知っている人が少なくて、むしろ奇異の目で見られる (30代・男性)
  • お膳の料理は、まんべんなく箸をつけて、最後に一緒になくなる、これがマナーであり、嫌いなものは最初から箸をつけず、避けておくこと。これは知っておいて役に立つと思います (60代・女性)
  • 茶道をたしなんでいたため、ふすまの開け閉めや食器の扱い方を知っていたので、自宅以外での食事や会合のときに、とても役立ちました (50代・女性)
  • 奥さんの実家へ、結婚の承諾をもらいに行ったとき、出された魚を箸できれいに食べたら、「こんなに箸を上手に使えるのは、きちんと育てられた証拠」と結婚の許可をいただきました。何が幸いするかわかりませんね (40代・男性)
  • 外食の際に、卓や碗などが塗りの場合、両親が時計や指輪、ブレスレットを外すのを見て育ったので、当たり前のことと思っていましたが、自分が大人になってからは、それを知っていることによく驚かれます。特別良い育ちではないのですが、他にも大切な食のマナーをしつけてくれた両親に感謝しています (40代・女性)
◆マナーを知らずに恥ずかしい思いをしたこと
◆マナーを知らずに恥ずかしい思いをしたこと
  • 自分ではめったに行けない高級な料亭だったため、写真を撮るなど感動ばかりして食べるのが遅くなり、出て来るものを次々に下げられたり、温かいものを早めに食べるように言われたりしたことが恥ずかしかった (50代・女性)
  • みそ汁のふたを、食べ終わってもいないのに閉じていた。みそ汁が冷めると思って閉じていたのだけど、これはマナーの悪いことだと知らず、好きな人に注意をされました。初めて好きな人と食事に行ったときだったのですが、その後、その人から連絡がなかった (20代・女性)
  • イギリスに留学中、中国系の人たちと食事をする機会に、「日本人はそういう箸の持ち方をするのか」と聞かれた。単に自己流なだけなのだが。正しく箸を使えないことを初めて恥ずかしく感じた (40代・男性)
  • おかずなどを取ったときに、こぼれても大丈夫なように手を下に添えるのは、良いことだと思っていましたが、結構最近になって、小皿で取るのがマナーと知って、恥ずかしかったです (40代・男性)
  • 魚の半身を食べたら、そのままひっくり返して食べていたが、大人になってから、それが間違っているということを知った。まわりでみんなが骨をきれいによけている中、私はずっと気づきもせずに、ひっくり返していました。知らないだけでなく、タブーに気づかないのもまた怖いものです (30代・男性)
  • 茶碗とお椀の置き方が逆で、主人の実家にご飯を食べに行ったとき、義父に注意されたことが一番恥ずかしかったです (30代・女性)
<スペシャル・トーク>「本当に美しい食べ方」について、食事作法の専門家にうかがってみました!
「本当に美しい食べ方」について、
  食事作法の専門家にうかがってみました!

食輝塾主宰/日本箸文化協会代表 小倉朋子さん食とテーブルマナーの総合教室「食輝塾」主宰。フードプロデューサーとして、食関連事業企画やメニュー開発、飲食店・企業などのコンサルティングを広く手がける。食育、食文化、健康と食、テーブルマナーに関して講演や執筆活動などでも活躍。著書に『グルメ以前の食事作法の常識』(講談社)などがある。オフィシャルサイト http://www.totalfood.jp/

◆私たちが食事の前に口に出して言う「いただきます」には、どのような意味が込められているのでしょうか?
目の前の料理に対して、「あなたの命を分けていただいて、私の命をつながせていただきます」という日本人らしい、謙虚だけれどきちんと食に対して向き合った思いが込められた、とてもすばらしい言葉なのです。そして、料理を作ってくれた人、一緒に食べる人、料理を盛り付ける食器に対しても、「ありがとう」という感謝の気持ちを含んだ言葉です。

◆現代人に多く見られる、良くないマナーとはどのようなものですか?
私は10年ほど前から、箸文化を広める活動をしています。今まで1万人以上の方に箸についてお話してきましたが、経験上、成人の中できれいな箸使いができている人は、全体の2割程度と感じています。ご自分ではきちんと箸を持てていると思っていても、実際にはできていない方も多くいらっしゃいます。
正しい箸使いをしていれば、ひと粒のお米や、つるつると滑るじゅんさいなども、簡単につまむことができます。また、箸使いの美しいフォルムを身につければ、余分な力を入れなくても、自由自在に箸を使うことができるのですよ。
ここで、正しい箸使いができているか、ご自分でチェックするポイントをご紹介しましょう。

食事のマナーイメージ

箸を閉じているときには、中指の指先が上下の箸につき、箸先がぴったりとくっついて、箸の頭は3cmほど開いているのが理想の持ち方です。3cmよりも開きが小さいと、箸が平行なり、細かいものはつまめますが、大ぶりのものはつまみにくくなってしまいます。
箸を開いているときには、中指が上の箸についているのが正しい持ち方です。このとき、中指が下の箸に残ってしまっている人が、実は多く見られます。

◆食事のマナーを身につけると、どのような点が良いのでしょうか?
和食が好きなのに、箸使いに自信がなくて、マナーが気になって食事が楽しめないなどというのは、とてももったいないことですよね。基本的な食事のマナーを知っていれば、どんな場所でも、余裕をもって楽しく食事をいただくことができますし、自信にもつながると思います。
また、ひとりで食事をするときにも、マナーは大切だと思います。どうせ誰も見ていないのだから、食べ方などどうでも良いという人と、食べものに対してきちんと感謝を表して食べる人とでは、物事の価値観や人生観、さまざまな局面での対処法が変わる、と私は思っているので、主宰する教室「食輝塾」でも、そのようにお伝えしています。
取り立てて装う必要のないふだんの食事や、ひとりで食べるときにこそマナーを守るということは、自分を高めることにつながるのではないでしょうか。

◆最後に、食事のマナーを見直すススメとして、TEPORE会員の皆さまにアドバイスをお願いします。
美しく食事をいただくということは、テキスト通りの正しいマナーできれいに食べれば良い、というわけではありません。一緒に食事をする方や、お店の方への細やかな心配りができたり、その場に合った会話を提供したりと、トータルなコーディネート力もとても大切なことなのです。
大人になるにつれて、マナーを一から教わる機会は少なくなりますよね。何が正しいマナーで、どれが間違っているのかの基準がわからなくて、漠然とした不安を抱えている方も少なくないのではないでしょうか。マナーというと、皆さん堅苦しい作法と思われるようです。先にもお話しましたが、本来、マナーというのは、感謝の心を忘れずに相手を思いやる気持ちを持つことです。これを心がけることができれば、マナーに反するようなことは自然に減ってくるものですよ。
今回の「大人の食学 〜食事のマナー〜」についてのアンケート結果はいかがでしたか?
今回の「大人の食学 〜食事のマナー〜」についてのアンケート結果はいかがでしたか?
食事のマナーといっても、ただお行儀良く食事をすればいい、ということではありません。マナーを堅苦しく大げさにとらえすぎてしまうと、食事自体がつまらないものになりかねませんが、美しい食べ方というのは、実は合理的だったり、健康的だったりするものです。
箸の持ち方や、「いただきます」「ごちそうさま」の言葉など、基本の食事マナーには、現代の私たちでも守るべき大切なものがたくさん詰まっています。おいしい食事をいただける毎日に感謝し、奥ゆかしく美しい日本の食文化を大切に守り、正しく後世に伝えていきたいものですね。

次回5月の『大人の食学』では、「アイスクリーム」についてのアンケート結果を発表します。お楽しみに!

※アンケート結果や解説等は、掲載当時のものです。