大人の食学(たべがく)
2010/9/9掲載

TEPORE アンケート 大人の食学(たべがく)
テーマイメージ 非常食
9月は防災月間です。地震や台風、津波、高潮などの自然災害についての知識を深め、そうした災害に対する備えを改めて点検しておく良い機会といえるでしょう。災害時に必要となるもので、日ごろから備えておいたほうが良いものはいくつかありますが、その中でも特に重要だと思われる「非常食」について、皆さまはどのくらいの準備をされているのでしょうか? 今回のアンケートでは、皆さまの「非常食」の備蓄状況について調査を行いました。またコラムでは、非常食をどのように準備しておけば良いのかを専門家の方にうかがいました。
調査概要
調査方法 インターネットリサーチ
調査期間

2010年8月19日(木)〜8月22日(日)

対象者 TEPORE会員
有効回答者数 58,053人(男性 34,138人 女性 23,915人)
今回の「大人の食学〜非常食〜」に関する調査では、2010年8月19日(木)〜8月22日(日)の間に、58,053人の方から回答をいただきました。
Q1 万一の災害に備えて、あなたのご家庭では非常食(保存食・飲料を含む)
を備蓄していますか?
1位
まったく備蓄していない 26.5%
2位
特別な非常食ではなく、保存食(インスタント食品など)が1〜2日分ある 16.9%
3位
特別な非常食ではなく、保存食(インスタント食品など)が3日分以上ある 15.2%
4位
1〜2日分の備蓄があり、消費期限・賞味期限内である 13.7%
5位
3日分以上の備蓄があり、消費期限・賞味期限内である 10.8%
6位
飲料だけ、1〜2日分の備蓄がある 5.1%
7位
備蓄はあるが、消費期限・賞味期限は不明 4.8%
8位
飲料だけ、3日分以上の備蓄がある 4.3%
9位
備蓄はあるが、消費期限・賞味期限を過ぎている 2.4%
(回答者数=58,053人)

年代別ランキング 《29歳以下》 《30〜39歳以下》
1位
まったく備蓄していない 40.9%
2位
特別な非常食ではなく、保存食が
1〜2日分ある 15.5%
3位
1〜2日分の備蓄があり、消費期限・
賞味期限内である 10.5%
4位
特別な非常食ではなく、保存食が
3日分以上ある 10.4%
5位
3日分以上の備蓄があり、消費
期限・賞味期限内である 7.4%
(回答数=2,663人)
1位
まったく備蓄していない 32.0%
2位
特別な非常食ではなく、保存食が
1〜2日分ある 17.4%
3位
1〜2日分の備蓄があり、消費期限・
賞味期限内である 13.5%
4位
特別な非常食ではなく、保存食が
3日分以上ある 12.6%
5位
3日分以上の備蓄があり、消費
期限・賞味期限内である 8.5%
(回答数=12,195人)
《40〜49歳以下》 《50〜59歳以下》
1位
まったく備蓄していない 27.6%
2位
特別な非常食ではなく、保存食が
1〜2日分ある 17.5%
3位
特別な非常食ではなく、保存食が
3日分以上ある 14.1%
4位
1〜2日分の備蓄があり、消費期限・
賞味期限内である 14.0%
5位
3日分以上の備蓄があり、消費
期限・賞味期限内である 10.2%
(回答数=18,143人)
1位
まったく備蓄していない 23.3%
2位
特別な非常食ではなく、保存食が
3日分以上ある 18.4%
3位
特別な非常食ではなく、保存食が
1〜2日分ある 17.2%
4位
1〜2日分の備蓄があり、消費期限・
賞味期限内である 13.3%
5位
3日分以上の備蓄があり、消費
期限・賞味期限内である 11.2%
(回答数=13,731人)
《60〜69歳以下》 《70歳以上》
1位
まったく備蓄していない 20.0%
2位
特別な非常食ではなく、保存食が
3日分以上ある 17.7%
3位
特別な非常食ではなく、保存食が
1〜2日分ある 16.0%
4位
1〜2日分の備蓄があり、消費期限・
賞味期限内である 14.0%
5位
3日分以上の備蓄があり、消費
期限・賞味期限内である 13.9%
(回答数=8,654人)
1位
まったく備蓄していない 17.5%
2位
1〜2日分の備蓄があり、消費期限・
賞味期限内である 16.8%
3位
3日分以上の備蓄があり、消費
期限・賞味期限内である 16.5%
4位
特別な非常食ではなく、保存食が
3日分以上ある 14.8%
5位
特別な非常食ではなく、保存食が
1〜2日分ある 14.1%
(回答数=2,667人)

解説
1位は「まったく備蓄していない」(26.5%)で、非常時に食べられる食糧をお持ちでない方の割合は全体の4分の1を超えることがわかりました。また、2・3位は、特別な非常食ではないけれど、保存食があるという方(合わせて32.1%)、4・5位は、非常食として食品を備蓄されている方(合わせて24.5%)という結果でした。大きな災害(大地震など)が起きた際に最低限必要といわれている、3日分以上の食糧の備蓄がある方は、非常食・保存食を合わせて26%でした。
年代別に見ると、全体と同じく「まったく備蓄していない」がすべての年代で1位を占めていましたが、その割合は、年代が上がるごとに少なくなる傾向にありました。特に70歳以上の方については、非常食を備蓄されている方が他の年代よりも多く、防災意識の高さがうかがえます。
他にもこんなご意見がありました
  • 約1〜2か月分の各種備蓄はある (70歳以上・男性)
  • マンションの管理組合で備蓄がある (40代・男性)
  • リュックサックに入る量だけの保存食しかありません (30代・女性)
Q2 あなたのご家庭で、非常用に備えている食品(非常食・保存食)や飲料は何ですか?
1位
インスタント食品(カップめん・カップスープなど) 62.4%
2位
レトルト食品(カレー・シチューなど) 49.4%
3位
ミネラルウォーターやスポーツドリンクなどのペットボトル飲料 47.7%
4位
お菓子(ビスケット・チョコレート・飴など) 37.7%
5位
惣菜の缶詰(魚・肉・煮物など) 33.2%
6位
保存飲料水 27.3%
7位
乾物(海苔・煮干し・豆加工品・ナッツ類など) 26.8%
8位
フリーズドライ食品(みそ汁・スープ・おかゆなど) 26.6%
9位
お茶(日本茶・中国茶など)のペットボトル飲料 26.2%
10位
乾パン 24.8%
11位
粉末スープ 23.6%
12位
ごはん(アルファ米など) 22.4%
13位
スナックバー(チョコ菓子・シリアルバーなどの栄養補助食品) 18.1%
14位
ジュースやコーヒー・紅茶などのペットボトル飲料 14.3%
15位
即席乾燥餅 8.8%
16位
缶スープ 7.3%
17位
パンの缶詰 7.1%
18位
離乳食・粉ミルク 1.0%
19位
宇宙食として販売されている保存食 0.6%
(回答者数=42,672人)※複数回答
男女別ランキング 男性
1位
インスタント食品 63.0%
2位
レトルト食品 47.7%
3位
ミネラルウォーターやスポーツドリ
ンクなどのペットボトル飲料 45.0%
4位
お菓子 32.1%
5位
保存飲料水 28.8%
6位
惣菜の缶詰 28.4%
7位
お茶のペットボトル飲料 26.5%
8位
乾パン 26.2%
9位
フリーズドライ食品 23.6%
10位
ごはん 23.1%
(回答数=24,764人)※複数回答
女性
1位
インスタント食品 61.7%
2位
レトルト食品 51.9%
3位
ミネラルウォーターやスポーツドリ
ンクなどのペットボトル飲料 51.5%
4位
お菓子 45.6%
5位
惣菜の缶詰 39.8%
6位
乾物 33.8%
7位
フリーズドライ食品 30.7%
8位
粉末スープ 29.4%
9位
お茶のペットボトル飲料 25.8%
10位
保存飲料水 25.4%
(回答数=17,908人)※複数回答
解説
非常食イメージ 全体の1位は「インスタント食品(カップめん・カップスープなど)」(62.4%)、2位は「レトルト食品(カレー・シチューなど)」(49.4%)で、保存食が1・2位を占めました。また、3位「ミネラルウォーターやスポーツドリンクなどのペットボトル飲料」(47.7%)、4位「お菓子(ビスケット・チョコレート・飴など)」(37.7%)、5位「惣菜の缶詰(魚・肉・煮物など)」と、手に入れやすさやおいしさが重視される食品や飲料が上位に挙がっています。一方で、非常食の定番ともいえる「乾パン」は10位(24.8%)、「ごはん(アルファ米など)」は12位(22.4%)、「パンの缶詰」は17位(7.1%)という結果でした。
男女別に見ると、上位4位は全体と変わりませんが、男性では5位に「保存飲料水」(28.8%)、8位に「乾パン」(26.2%)がランクインしており、女性に比べると非常用に特化した飲料・食品をお持ちの傾向が、やや強いようです。それに対して、女性は6位に「乾物」(33.8%)、8位に「粉末スープ」(29.4%)と、ふだんの食事でも利用することが多い食品が10位内にランクインしていました。
他にもこんなご意見がありました
  • はちみつ、氷砂糖 (30代・男性)
  • エネルギー補給用ゼリー (50代・女性)
  • ミリメシ(一般向けに販売される軍隊用戦闘食) (40代・男性)
  • 梅干し(自家製で3年分在庫あり) (60代・女性)
  • 今は畑の作物、冬は漬物 (50代・男性)
  • かつお節(関東大震災で実際に役立った教え) (60代・男性)
  • バナナを常備 (50代・女性)
  • コーンフレークなどのシリアル食品を常に5日分以上ストックするようにしているが、飲料の備蓄はできていない (40代・男性)
Q3 あなたが非常食に対して求める条件は何ですか?
1位
消費期限・賞味期限が長い 54.1%
2位
調理の必要がない 50.9%
3位
栄養価が高い 23.1%
4位
味がおいしい 22.8%
5位
満腹感が得られる 21.1%
6位
価格が安い 17.3%
7位
コンパクトで保存に場所を取らない 12.5%
8位
水なしでも食べられる 11.9%
9位
水分を補給できる 9.1%
10位
手を汚さずに食べられる 7.5%
11位
味にバラエティーがあって飽きがこない 7.0%
11位
包装が簡単に開けられる 7.0%
13位
携帯しやすい 6.2%
14位
包装・パッケージに耐久性がある 5.6%
15位
小分けになっている 5.2%
(回答者数=42,672人)※複数回答

年代別ランキング 《29歳以下》 《30〜39歳以下》
1位
消費期限・賞味期限が長い 44.5%
2位
調理の必要がない 36.0%
3位
味がおいしい 31.4%
4位
満腹感が得られる 29.7%
5位
栄養価が高い 29.5%
6位
価格が安い 20.1%
7位
水なしでも食べられる 9.5%
8位
水分を補給できる 9.0%
9位
コンパクトで保存に場所を取らない
8.3%
10位
味にバラエティーがあって飽きが
こない 7.8%
(回答数=1,574人)※複数回答
1位
消費期限・賞味期限が長い 51.6%
2位
調理の必要がない 43.1%
3位
味がおいしい 28.7%
4位
満腹感が得られる 25.7%
5位
栄養価が高い 24.0%
6位
価格が安い 18.9%
7位
コンパクトで保存に場所を取らない
10.4%
8位
水なしでも食べられる 9.5%
9位
水分を補給できる 7.5%
10位
味にバラエティーがあって飽きが
こない 6.3%
(回答数=8,292人)※複数回答
《40〜49歳以下》 《50〜59歳以下》
1位
消費期限・賞味期限が長い 55.7%
2位
調理の必要がない 46.1%
3位
味がおいしい 24.3%
4位
栄養価が高い 22.8%
4位
満腹感が得られる 22.8%
6位
価格が安い 19.6%
7位
コンパクトで保存に場所を取らない
12.1%
8位
水なしでも食べられる 10.4%
9位
水分を補給できる 8.3%
10位
手を汚さずに食べられる 6.6%
(回答数=13,141人)※複数回答
1位
消費期限・賞味期限が長い 55.6%
2位
調理の必要がない 54.4%
3位
栄養価が高い 21.8%
4位
味がおいしい 21.1%
5位
満腹感が得られる 18.6%
6位
価格が安い 17.9%
7位
コンパクトで保存に場所を取らない
13.9%
8位
水なしでも食べられる 13.7%
9位
水分を補給できる 9.7%
10位
手を汚さずに食べられる 7.7%
(回答数=10,537人)※複数回答
《60〜69歳以下》 《70歳以上》
1位
調理の必要がない 62.8%
2位
消費期限・賞味期限が長い 54.0%
3位
栄養価が高い 21.4%
4位
満腹感が得られる 17.0%
5位
味がおいしい 15.8%
6位
水なしでも食べられる 14.7%
7位
コンパクトで保存に場所を取らない
14.4%
8位
価格が安い 12.4%
9位
水分を補給できる 11.1%
10位
手を汚さずに食べられる 10.0%
(回答数=6,927人)※複数回答
1位
調理の必要がない 64.9%
2位
消費期限・賞味期限が長い 53.6%
3位
栄養価が高い 28.4%
4位
味がおいしい 15.6%
5位
水なしでも食べられる 13.7%
6位
コンパクトで保存に場所を取らない
13.3%
7位
満腹感が得られる 12.7%
8位
水分を補給できる 12.1%
9位
味にバラエティーがあって飽きが
こない 10.6%
10位
包装・パッケージに耐久性がある
10.5%
(回答数=2,201人)※複数回答

解説
非常食イメージ 全体で見ると、1位は災害時に備えて保存する際の条件となる「消費期限・賞味期限が長い」(54.1%)こと、2位は実際に使用する場面での条件となる「調理の必要がない」(50.9%)ことで、この2つは過半数に達する支持を集めました。
年代別では、年代が上がるにつれて「調理の必要がない」を条件に挙げる方が増え、60歳以上の方では1位となっています。また、年代が若い方ほど「味がおいしい」「価格が安い」「満腹感が得られる」とお答えになる方が多くいらっしゃいました。
その他の意見では、アレルギーに対応した非常食など、安心して食べられるものを求める意見も多く見受けられました。
他にもこんなご意見がありました
  • アレルギー物質(特に卵・牛乳由来物質)が入っていない (50代・女性)
  • 原材料の仕入れ所や製造法に信頼がおける (30代・男性)
  • 賞味期限の関係で入れ替えをしたときでもおいしく食べられる (30代・女性)
  • 有機・オーガニック (30代・男性)
  • 温かくできる食べ物(駅弁などで見られる工夫) (60代・男性)
Q4 あなたのご家庭で、非常食の備蓄で工夫していること、非常食を備えておいて
良かった・助かったと感じた経験、あるいは、非常食を用意しない理由などが
あれば教えてください。
◆非常食の備蓄で工夫していること
◆非常食の備蓄で工夫していること
  • 万が一、自宅が崩壊したときのことを考え、物置などに分散して保管している (40代・男性)
  • 毎年9月1日に非常食のチェックと、新しいものへの入れ替えをしている。賞味期限の1年前には消費して、味のおいしかったものを買い足し、子どもが気に入らなかったものは次に買わないようにしている (30代・女性)
  • 旅行用のコロコロの付いたトランク?キャリーバック?に入れています。ペットボトル2リットルの水を5本入れて持ち出しても、コロコロ転がせば持ち運びやすいと思って (30代・女性)
  • 非常食は1か所にまとめているが、水のペットボトルだけは複数本ずつ、各部屋隅に置いている。これは、何らかの小発火に備える意味も兼ねている (70歳以上・男性)
  • 家族に猫もいるので、もちろん猫の食事も一緒に保管しています。大事な家族ですから! (29歳以下・女性)
  • あまり非常食を用意せず、食べられる野草の図鑑を買いました (30代・男性)
  • ショミカンなどのWebサービスを利用して、消費期限の時期を管理している。賞味期限が来たときに日常の生活で消費できるように、味が悪くないものを備蓄している。支出を抑えるために、備蓄専用品ではなく一般のレトルト食品や缶詰、乾麺を毎月少額ずつ購入し、賞味期限が残り1か月ほどで到来するものから消費するようにしている (40代・男性)
  • 2年に一度、保存している非常食を家族で食べる。もしも地震などで非常食以外食べられない場合を想定しながら、その日一日を「非常食の日」にしているので、家族も食べ方や燃料に工夫をするようになった (60代・女性)
  • 昔ながらの食品、かんぴょう、昆布、干し柿、梅干し、のり、ゴマ塩、かつお節、乾燥芋など備蓄してある(災害でなくても、孫の運動会などの食材に役立っています) (70歳以上・男性)
◆非常食を備えておいて良かったと感じた経験、必要だと感じたエピソード
◆非常食を備えておいて良かったと感じた経験、必要だと感じたエピソード
  • インフルエンザで家族全員が寝込んでしまったとき、非常食1週間分で助かりました (60代・女性)
  • 阪神大震災を経験しましたが、缶切りが不要の缶詰は役に立ちました。ごたごたしてものがどこにあるかわからなくなっても、道具なしで開けられる、食べられるものは助かります (40代・女性)
  • マクロビオティック(日本で考案された玄米、野菜、海藻などを中心とした食事法)のレトルト食品を備蓄していたため、中越沖地震のときも慌てることなく、栄養価も高いため安心であった。ふだんは体をリセットするためのダイエット食になるし、いざというときは非常食にもなるので、ムダがない。あとは、カセットコンロとペットボトル数本の水があれば、完璧 (40代・女性)
  • ロサンゼルスに駐在していたとき、暴動を恐れて、家の周囲の店が4〜5日ぐらいにわたって全部閉まってしまったことがあった。家に乾麺や豆を置いてあったため、食事に困らずにすんだ。豆はオーブンで発芽させ、もやしにして野菜不足を補った (40代・男性)
  • 中越沖地震では水の大切さを改めて感じたので、水の確保は忘れないし、風呂の水も捨てずにいる (50代・女性)
  • 深夜の夜行バスで移動中、大雪のため大渋滞にはまり、バスの中で丸一日過ごした。バスの乗務員から非常用乾パンと飲料水が配られたが、当時学生の私にはとても量が足りず、お土産として持っていたお菓子などを食べて空腹を満たした。災害ではなかったが、備えは常に必要だと痛感した出来事だった (30代・女性)
◆非常食を用意しない理由
◆非常食を用意しない理由
  • 危機的状況になったことがないので、大丈夫だろうという気持ちが大きいため、何の用意もしていない。いざとなったら困るのに… (30代・女性)
  • マンションなので、自治会で水などを準備しているし、個人で備蓄する必要性をあまり感じない。それより、まず安全に非難することが大切だと思う (60代・女性)
  • 都会と田舎では災害に対する認識、感覚が違うと思う。田舎に住んでいると、そこら中に畑はあるし、ふだんから川や海で魚を捕って食べていたりするので、「何か食べるものはある」という感覚で生活している (30代・男性)
<スペシャル・トーク>「非常食」について、長期保存食品の専門メーカーの方にお話をうかがってみました!
「非常食」について、長期保存食品の専門メーカーの方にお話をうかがってみました!


林 紳一郎さん 1935年(昭和10年)の創業からアルファ米(水分を加えるだけで食べられるよう、炊いた米飯を熱風乾燥させた加工米)の製造技術を確立。現在では非常用食糧・登山用携行食・宇宙食などの製造を行い、非常用食糧の老舗メーカーとして自治体や病院、企業などに高いシェアを持つ尾西食品株式会社の林紳一郎さんに、地震災害における非常食についてうかがいました。

林 紳一郎さん
尾西食品株式会社 専務取締役
尾西食品株式会社 >> http://www.onisifoods.co.jp/



◆実際に災害が起きた際、どの程度の備蓄が必要になるのでしょうか?
まず備蓄で1番重要なのは飲料水、2番目が食糧です。政府の中央防災会議では、首都直下型などの大地震に際して、3日間の食糧と飲料水(1日3食分・飲料水1日3リットル)を各家庭で備蓄することをすすめています。これは、インフラの復旧や配給などの公的支援が届くまでに、最低限この程度の備蓄が各家庭で必要だと予想されるからです。例えば、阪神淡路大震災のとき、ある地域では、電気が復旧するまでに約3日間、水道は約1週間、ガスは約20日間かかったといいます。自治体以外にも、企業や学校、マンションなどで備蓄されているところはあると思いますが、ご家庭で何か用意していると、それだけでも安心につながるのではないでしょうか。

◆非常食は、どのようなことを考慮して選んだら良いでしょうか?
非常食といっても、何を備蓄したら良いのかよくわからないという方も少なくないと思います。例えば、代表的な非常食のひとつである乾パンは、保存期間も長く、カロリー的にもバランスのとれたすぐれた食品ですが、日ごろ食べ慣れないものなので、毎日それだけ食べ続けるというのは、なかなかむずかしいのではないでしょうか。また、水がないと食べづらいという方もいらっしゃるでしょう。
阪神淡路大震災のあとの調査で、人々は、非常食に次の4つの要素を求めているということがわかりました。その4つとは、1つめが「おいしい食べ物」、2つめが「毎食違う食べ物」、3つめは「食べ慣れた食べ物」で、4つめは「いつも食べている食べ物」です。自分で備蓄するものですから、こういった点を考慮して、ご家族やご自分の好み・体質に合ったものを選ぶと良いでしょう。

◆非常食の備蓄について、何かアドバイスはありますか?
例えば、飲料水を用意する際は、500ミリリットルのペットボトルをおすすめします。2リットルのペットボトルだと、コップがなければ回し飲みになってしまうので不衛生ですが、500ミリリットルなら、各自で飲みきることができます。また、飲料水が期限切れになってしまった場合でも、生活用水として使うことができるので、ペットボトルの水は何かと役に立ちますよ。非常食に加えて、コップなどの食器やラップ、ウェットティッシュなどを用意しておくことができれば、衛生面での安心感も増します。
備蓄する非常食の保管場所については、食卓の辺りや玄関に近いところが良いでしょう。地震が起きたときにいる場所にもよりますが、基本的には、まず丈夫なテーブルの下などに避難することが多いでしょうから、そこで救援を待つ場合にも、持ち出しやすい食卓の辺りはちょうど良い保管場所になります。
それから、ガスより先に電気が復旧することが予想されますので、電気調理器を一緒に備えておくと、食べられるものにも幅が出てきますし、冬場なら温かい食事をとることができますね。

◆非常食用の製品を開発する際には、どのような点を工夫されていますか?
容器については、利便性と省エネを意識したものが多くあります。アルファ米の製品では、容器の中にスプーンが付属しているものや、お水やお湯を入れてそのまま使えるようになっている容器などがあります。また、パン製品では、パンに直接手を触れずにそのまま食べられるように、アルミ袋と紙筒の容器になっているものもあります。食べたあとは小さく折りたためるよう工夫されているので、ゴミの処理がしにくい災害時にも邪魔になりません。
非常食は、品質の良い材料を使うのはもちろんですが、味についても、濃い味付けのものだとのどが渇いてしまったり、飽きやすくなったりするので、当社の製品では若干、薄味に味付けしています。災害時の非常食には、そういった細かい配慮も大切ですよ。

◆最後にTEPORE会員の皆さまにメッセージをお願いします。
非常食というと、乾パンのように何か特別なものを用意しなければいけないとお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、保存の利く食品を準備しておく、という意識で良いのだと思います。阪神淡路大震災の直後4日間に何を食べたかという調査をした際に、平均1人1.7食しか食べていないという結果がありました。そこで食べたものの中には、パンなどの主食だけなく、お菓子などもあり、そのようなものも十分に非常食になりえるのだということがうかがえました。現代では、災害時であっても餓死するようなことはほとんどないと思われますが、精神的にもストレスの多い環境の中で、食事をとる間は、数少ないホッとできる時間になると思います。そういった意味でも、非常時に食べられるものを何かしら身近に用意しておく意識を、お持ちになっていただけると良いのではないでしょうか。
今回の「大人の食学 〜非常食〜」についてのアンケート結果は、いかがでしたか?
今回の「大人の食学 〜非常食〜」についてのアンケート結果は、いかがでしたか?
突然襲って来る災害に備えて、「非常食を準備しておかなければ」という気持ちはあっても、どのようなものをそろえておけば良いのかわからなかったり、保管しているうちに賞味期限が切れてしまったりしてしまいがちです。「非常食」として、特殊・特別な食品をそろえなくても、身近な保存食を多めに購入して少しずつ入れ替えをしたり、長期保存が可能な食品を一定量買い置きしておいたりと、備蓄の方法はさまざまに考えられることがわかりました。皆さまも、このアンケートを機会に、ご家庭の「非常食」について見直してみてはいかがでしょうか。

次回のTEPOREアンケートは、「ジーンズを履いていますか?」についてのアンケート結果を発表します。お楽しみに!

※アンケート結果や解説等は、掲載当時のものです。