
2014年06月24日発行 Vol.398
雨が似合う植物を観察しよう
早いもので、今年も梅雨のシーズンがやってきました。雨が続くと、つい外出を控えてしまう、という方もいらっしゃるかもしれません。
けれども、濡れるのが嫌だ、出かける準備が面倒だといって家の中に閉じこもっていると、いっそう鬱々とした気分になってしまいます。
今回のTEPOREトクトクコラムでは、梅雨時に美しく映える植物をご紹介します。雨が似合う、お気に入りの植物を探しながら、傘を片手にのんびりと散策に出てみませんか? 運動不足解消と気分転換を兼ねて。
●あじさい
梅雨の風物詩ともいえるあじさいは、ピンク、青、紫、白の花を咲かせます。
花の色の違いは遺伝であるという説もありますが、土のpH状態によって生じるともいわれています。土が酸性に傾いている場合は青っぽく、アルカリ性に傾いている場合は赤っぽい花が咲くのだそうです。
今の時季は、各地にある「あじさい寺」と呼ばれるお寺などが、多くの観光客でにぎわいを見せていることでしょう。TEPORE編集部にも、毎年この時季に鎌倉のお寺へあじさいの写真を撮りに出かけるスタッフがいます。散策路に植えられた2,500株ものあじさいの花は、いつ見ても圧巻だそうです。また、雨に濡れたあじさいの花を撮影したいという思いから、あえて天気が悪い日に出かけるとのことでした。
●タチアオイ
毎年、梅雨入りの頃に花が咲きはじめ、梅雨明けの頃に花期が終わる、まさに梅雨を告げる花。そのため「ツユアオイ」とも呼ばれています。
草丈は人の背丈ほどの高さがあり、茎は直立しています。赤、白、黄色、紫、ピンク、といった色とりどりの花が茎の下から順に上に向かって咲き、大きいものだと直径が10cm以上になるものもあります。一重、八重、フリルのようなものなど、花の咲き方もさまざまです。
根は漢方薬(胃腸薬)の原料として、花はハーブティーの原料として利用されることもあります。
●ホタルブクロ
その昔、ホタルを釣り鐘型の花の中に入れて、持ち運んだり遊んだりしたことから名づけられたというホタルブクロ。4~5cmの円筒形をした花が下向きに咲き、その色は白や薄い紅紫色をしています。「アメフリバナ」という別名を持ち、梅雨の代表花として愛好家が多いともいわれています。
湿度の高い梅雨の時季だけ、その姿を見ることができるホタル。暗闇にポワッと青白くはかない光を放つ様子は、とても幻想的で美しいものですね。ホタルブクロにホタルを入れて鑑賞すると、より風流を感じられるかもしれません。
●ユキノシタ
日陰で湿った場所に生える多年草で、白と赤紫色の花が咲きます。花びらは全部で5弁あり、下部分2枚だけが長く伸びている珍しい形をしていますが、その姿はとても美しく、観賞用としても人気があります。白い花が雪のように見えること、また花の形が白い舌状に見えることから、「雪の舌」「雪の下」となったという説があるそうです。
ユキノシタは別名「ミミダレグサ」とも呼ばれ、昔から耳の薬として知られています。さらに、むくみの予防・改善や美白効果もあるため、化粧品やハーブティーなどにも利用されています。また食用にもなり、葉や蕾を酢味噌やゴマで和えたり、炒め物、煮物、天ぷらにしたりして食べられています。
●苔
古くから日本庭園などで使われている苔には、独特の風情があります。特にこの時季の苔は、水分をたっぷり含んでふっくらとし、つややかに輝いています。
苔は生命力が強く、たとえカラカラに乾いてしまっても、適度な水分と光があれば持ち直すこともできるのだとか。そのため、植物を育てることが苦手というTEPORE編集部スタッフも、苔だけは長年枯らさずに育てられているのだそうです。
また最近では、苔を利用した緑化運動が盛んになっているようです。苔は根をはらず、土が必要ないため、ビルの屋上や壁面での施工が可能で、管理もしやすいと注目を集めています。
雨の日は傘を差すうえに、足元が気になることもあって、周囲を見ることが少なくなります。
しかし、道端や住宅の庭、公園などに目を向ければ、雨雫を存分に受けて、活き活きと伸びやかな植物たちを見つけることができるでしょう。きっと、元気とパワーをもらえますよ。
昔から、農耕には「十風五雨(じっぷうごう)」が適しているといわれていますが、特に梅雨時の雨量は農作物の成長を大きく左右するのだそうです。
雨の日はジメジメする、なかなか洗濯物が乾かない、などと憂鬱に考えず、お米や野菜を美味しく頂くための天からの恵みだと捉えれば、梅雨に対する考え方が変わってくるかもしれませんね。





















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